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2007年06月06日
調査日誌より(2007年4月№5)
リュウキュウヤマガメの落とし穴(?)
今年もそろそろリュウキュウヤマガメの活動が始まる季節だ。私の調査地でも側溝に少しではあるが、ヤマガメの歩いた痕跡が残り始めている。しかし、側溝内の餌がまだ少ないせいか、日中も側溝内に留まる個体はまだいない。
3月24日のツアーでは1個体のみ側溝沿いの大きな(1000?600?800)土止め用コンクリートブロック(業界用語ではもちという様で様々な形がある)が4段に積み上げられその上部接合部の隙間でヤマガメを1個体発見し、活動が始まったことを知る。この場所ではアカマタもよく見つかり、隙間も大きく(その時は正面からの隙間のみを見て、ヤマガメが抜けれそうではないが、他に抜け道があると思い込んでいた)一旦出してマーキング個体であることを確認し、記録後再び戻してその場を離れた。4月14日の調査でも側溝では見つからず、確認の意味で再びその場所の隙間を覗いてみた。そこには前回のツアーで確認した同じ格好で同個体と思われる個体がいた。早々にブロックの上に登り中を確認すると、個々のブロックの合わせ目の中央部に台形の溝が設けられ(ワイヤーで吊るすために設けられている溝と思われる)、その合わせ目で6角形の竪穴になっており、逃げ場所が全くない状態である。その竪穴の深さは700mmでヤマガメは穴内で回転は出来るが、登ることが出来ない落とし穴となっている。この個体は1ヶ月近くこの穴に入っていたことになり、幸い体重は減っているが生きており一安心。測定後近くに放す。ブロックの縦穴は落ちている木枝で埋め、他の穴を確認。その結果、もう1個体が穴内で死亡し腐敗臭を放っているマーキング個体を発見。その腐敗状態や3月24日に一応他の穴も確認していることで、それ以降に穴に落ちたものである。死亡原因は個体が小さいことで体力が尽きたものと推測。
全ての穴を埋め、帰ろうとしたがその隣の高さ3mのケンチブロックの上に一列(10個)だけ、並んでいる。まさかと思いつつも気になってそちらも確認したところ、やはり2個体のマーキング個体が別々の穴に落ちていた。幸い個体も大きく生きていたので安心し、測定後近くに放し、ここの穴も全て埋めその場を離れた。
この場のヤマガメ調査も7年目に入るが、この土止め用コンクリートブロックの穴は高い位置でもあるが盲点であった。穴内を覗くたびに過去に落ちたヤマガメの残骸があるのではという不安もあったが、幸い残骸はなく安心した。しかし、調査を始めた時点ではこの土止め用コンクリートブロックは設置されており、普通は落ち葉や土砂、枯れ枝で埋まっている。穴の中が比較的綺麗であること事態不思議である。また、何故今年のみ4個体も短期間に落ちたのか謎も残る。いずれにせよ私もよく見ずにヤマガメを見殺しにするところであり、反省しているが、人工物を野生動物が多い場所に設置する場合、その影響をよく考えて行わなければならない良い例である。